チェーンソー目立てマニュアル(実践編)

2012/11/7改訂

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この記事の前編として「チェーンソー目立てマニュアル<準備編>」があります。

そちらを先に読んでからこちらを読む事をお勧めします

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<目立てを始める前に>
1 ヤスリサイズの確認

2 目立てをする最初のカッターにペンでチェックをつける。
チェンによっては左右のカッターが連続している場合があるので、そこを目印にしても良いです

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3 ぼろ切れなどでカッターについている油汚れを落とす

4 しっかりとチェンを張る

5 チェンソーは胸の前辺りで目立てできる高さになるように切り株の上などに置く


<目立てのやり方>

まずは手袋(軍手)をつけましょう。
チェンソーは刃物です。
素手で目立てするのは危ないですよ。

それでは準備完了。
目立てをしてみましょう。

おっと、その前にその丸ヤスリはよく切れますか?
目がつぶれてヤスリがピカピカ光ってませんか?
削りカスが出ないような、引っかかりを感じる事のできないヤスリはポキッと折って処分してくださいね!


1 目立てをするにあたって大事なのは固定

◯チェンソーの固定
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チェンソーががたついたりしませんか?
チェンソーを固定するためにバイスなどを使っても良いですし、腕で抱え込むようにして押さえても構いません。
切り株にチェンソーで切り込みを入れて固定する方法もありますが、あまりお勧めしません。
チェンを回転させるときにいちいちチェンソーを動かす必要があり、目立ての姿勢が崩れてしまうのです。


◯カッターの固定

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準備段階でしっかりとチェンが張れていたら、ある程度チェンは固定されていると思います。
あとはヤスリで研ぐときに指でしっかりとカッターを固定します。


2 目立てをする姿勢、ヤスリホルダー、ハンドルの持ち方

右カッターと左カッターを目立てする時はチェンソーに向かう位置を変えますが、左右のカッターそれぞれを目立てする時は自分の位置は変えません。
チェンを回転させ、自分は常に同じ位置で目立てするようにします。

ヤスリには必ずホルダー、ハンドルをつけましょう。
ヤスリがぶれないように、またヤスリの「目」全体を使うようにするためです。
ヤスリの長さ一杯に大きく使えるようにします。

目立てをする時により安定させるために両手で研ぐやり方もあります。
丸ヤスリの先端に「目」がついていないのは、そこが持ち手にもなるからではないでしょうか。

ホルダー、ハンドルの持ち方は各自が持ちやすいようにしたら良いと思います。
普通に手の甲を上にして握っても良いし、逆に手のひらを上に向けても良いし、人差し指を伸ばしても良いです。
どんな握りでもヤスリをまっすぐに押し出すことが重要です。


3 ヤスリをまっすぐに押し出します。

この時、ヤスリを回転させたりする必要はなく、手首を固定し、脇を締め、肘でヤスリを押すように意識します。

ヤスリを往復させないように注意しましょう。
研いだらカッターからヤスリを外し、また押し出します。
ギコギコやるのは禁物です。

カッターに対して力の入れ具合は一般に下側に3割、カッター側に7割と言われます。

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分かりやすく上の画像の矢印の方向に力を入れて研いだら良いと思います。
「富士の裾野」を落とすのが目的はありません。
フック型になりすぎないように注意してください。

また「力を入れて研ぐ」と言っても手が疲れるほど、ヤスリが曲がるほど力を入れるわけではありません。
よく切れるヤスリを使い、カッターにしっかりと「密着」させて押し出します。


研ぐときのコツは、横刃(切削角)を60度にまっすぐ研ぐ事を意識する事です。
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目立てのときはよく見える上刃を気にしてしまう事が多いですが、そうではなく見えない横刃をヤスリでしっかりと研ぐイメージを持ってヤスリを動かします。
その結果、上刃がまっすぐになるのです。

ただ、もちろん上刃を30度でまっすぐにすれば横刃切削角は60度になりますので、これは意識の置き方の違いです。


カッティングポイントが、その名の通り「点」になるようにツンと尖る状態まで研ぎます。
Img_2612

チェンによっては手元を10度下げて目立てするように指示されていたり、水平にするように指示されていたりしますが、これは特に気にしなくても良いでしょう。
ヤスリがガレットを擦り込んでしまわないように、つまりフック型にならないようにするための注意喚起だと考えてください。
カッティングポイントが尖りすぎだと感じたら手元を下げて、ワーキングコーナーを研ぎ落としましょう(←この感覚は結構大事です)


一つのカッターについて3から5回研げば良いと思います。
右カッター、左カッターで得手不得手がある人は左右のカッターの大きさが変わってしまわないように研ぐ回数を調整してください。


刃先(メッキ)がかけている、丸くなっているなどしていれば、それを取り除くまで研ぎます。
場合によっては1mm以上研ぎ削らないといけない場合も。

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Tips!
つぶれたカッターは径の大きいヤスリやデプスゲージを削る平ヤスリで修正すると早く修正できます。
例えば普段4mmのヤスリを使っている場合は、4.8mmや平ヤスリでつぶれた刃先を一気に削り落とし、その後また4mmで通常の目立てを行います。
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4 一つのカッターを研ぎ終わったらチェンを動かして、常に同じ場所で目立てをする

ヤスリの切れ味を保つために、一つのカッターを研ぎ終わったらヤスリについた研ぎかすを落とすようにします。
そして自分の身体の位置は変えずに、チェンを回して、常に同じ箇所で目立てをするようにします。


5 チェンの目立てを数回行ったら、デプスゲージを確認します。

デプスゲージジョインターを使ってゲージが高いようなら平ヤスリで適切な高さまで削ります。
ジョインターは計測器具です。
平ヤスリで研ぐ時はジョインターは外します。

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斜めに削り落とすか、水平に削って角も落とすようにします。

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平ヤスリを使う時は、丸ヤスリと同じ方向です。
斜めに動かす事で平ヤスリがカッターに当ってしまうのを防ぎます。

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6 カッターのサイズが半分以下になったらノギスなどを使ってカッターの大きさ(長さ)を調べて、大きさをそろえましょう。

左右のカッターの大きさもそろえます。

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カッターを目立てして行くと、どんどんサイズが小さくなります。
それは逃げ角がついているからですね。
このため上刃切削角を60度に保つためには丸ヤスリのサイズが合わなくなってきます。
カッターは小さくなるのに、丸ヤスリは同じ大きさですから。
この場合は、ヤスリの径を小さくする(4.8から4.5、4から3.5など)か、カッターの下側を擦り込んで行くようにします。

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7 ヤスリの手入れ

丸ヤスリはとにかく切れないといけません。
ヤスリの目をつぶさないように、またサビさせないように注意して使います。
目立ての途中にヤスリをトントンとやって、目に詰まったカスを落としたり、軍手の上でヤスリを引くように動かして油分やカスを取りましょう。
目立てが終わったら、金ブラシなどで軽くこすってカスを落としたり、パーツクリーナーを吹き付けて掃除しておきましょう。

それでもどうしてもヤスリは痛んで行きますので、削りカスが出なくなったり、滑るような感覚があったら即、交換です。


<結論>

ここまでいろいろ書いてきましたが、もう一度シンプルに結論を。

新しい丸ヤスリを使ってできればガイドを使いましょう。
ガイドのおすすめはスチールのシャープニングキットです。
シンプルイズベスト。

丸ヤスリだけの場合は、上刃横刃にヤスリを密着させまっすぐに押し出す。
メッキが刃だということをイメージしてバリ(かえり)が出るまでしっかり研ぐ。


以上です。
お疲れさまでした!

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<参考>

ブログには目立ての記事がたくさんあります。

かえって混乱するかもしれませんが、興味のある人はカテゴリー「林業(チェーンソーの目立て)」を覗いてみてください。

コメント

チェーンソー目立てマニュアル(実践編)
目立てのやり方の1~7が、一つでも1以下になれば結果も1以下になりますね。

この1~7すべて完璧に行うには、相当の神経を刃先とヤスリに全身の神経を集中する必要があると思います。

これを左右に並ぶ何十も刃先を理想的に目立てを行う事が出来るチェンソーのプロの皆様は研ぎ澄まされた神経を集中して完璧に目立てが出来る事は、素晴らしい職人技と尊敬を致します。

キマルチェンソー目立て装置を私と一緒に設計された老練な機械設計技師が言っておりました。

まったく、つかみどこのない機械だ 通常の機械設計ですと首根っこさえ解決が出来れば後は簡単だがつかみ何処どこがないと言っておられた事を記憶しております。

マニュアル作りもつかみどこが無いのでご苦労されたと思います。 私も「キマル」チェンソー目立て装置の取説には苦労をしております。

それとです私の経験から目立て準備の刃先の清掃はボロ切れより 使用済みの歯ブラシが好都合と思います。
歯 刃の掃除は歯ブラシでしょう。

それと 目立てガイドですが、ヤスリ位置決め直動案内と刃先の固定が分離可能な物があれば一般人には 好都合と思います。

現在市販されている目立てガイドは 刃先を固定しようとするとヤスリ動きが悪くなり逆にヤスリを持ち上げると刃先が固定が出来ない欠点が良い目立てが出来ない原因です。

でき杉様には公私ともに お忙しい中ですが「キマル」のテスト使用を引き続きお願いを致します。

投稿: | 2012/11/21 23:20

キマルさん、ありがとうございます。

「刃ブラシ」とはうまいですね。
僕は油汚れを取りたいので、ぼろ切れなどで拭くようにしているんです。
たんにゴミを取り除くならブラシでも良いんですけどね。


実は僕自身はスチールのような目立てガイドは苦手なのですが、これまで見てきた経験ではこのガイドが使いやすいという意見が多かったのです。

まっすぐに動かすのは結局フリーハンドになってしまいますが、考えずにできるのが良いようです。

キマルは「直道案内」がしっかりしていますので、その点さらに決まってますね。


投稿: でき杉 | 2012/11/22 23:14

早速のコメントのお返事ありがとうございます。
スチール目立てガイド(ヤスリホルダー)は、バーに刃先が確実に固定と解除が出来て、刃先の固定が確実であれば理論的には誰にでも容易に理想の目立てが可能と考えます。
良いヤスリホルダーがあればチェンソー目立ての説明も簡単になると思います。
説明が一番面倒なヤスリ角度と高さ指示を省く事が出来ます。

そこで、携帯用の「キマル」刃先固定装置で刃先を固定してスチール目立てガイドを組み合わせますと「キマル」チェンソー目立て装置になってしまいます。
「直道案内」に付いてですが、物を直線に動かすには直線運動案内ベアリングを使用して「ころがり化」する事で軽く正確に早くする直動する事が出来ます。

直線運動案内ベアリングをリニヤベアリングとも呼んでいますが略して直動ベアリングとも呼んでおります。
ですから、「キマル」はヤスリを真っ直ぐ動かす事を直動と表現しております。

重い石もコロを入れて引くと軽く動きますが、地面の上を直接引くと摩擦抵抗が大きく動きが非常に重くなります。


どう考えてもコロガリ化した直動ベアリングがあらゆる規格・精度・価格で大量に出回リ ありとあらゆる場所や機械に使用されている時代にチェンソー目立では、ヤスリをフリーハンドで直動案内は大変に不思議な現象と思っております。

それとです。
マニュアルは通常人がマニュアルに完全に従ってすれば
結果はすべて同じにできなければなりませんですね。

「キマル」の場合も、取説つまりマニュアルが良くありません。

大企業の商品開発での取説(商品マニュアル)作成は、無関係の人を集めて取説を読んで どのような使用するか何度もチェクをして作ってあるようです。

引き続きチェンソー目立ての良いマニュアル作成をお願いを致します。

誰もが簡単にヤスリ一本で簡単に確実そして早く 理想的に目立てが出来るマニュアルは 国の宝です。


投稿: | 2012/11/24 08:08

ソーの目立て方法を分かり易く教えて戴いて感謝です
自分がやっているソーの研ぎ方に大変参考になりました
新品の刃を見て、刃の形を写真撮影し、研ぐ時に参考に
していましたが、このやり方に大変参考になりました
現場を知り、分からない人が分かり易く記すことなかなか
の内容と思います
ありがとうございました

投稿: 伊藤宣夫 | 2015/01/12 17:24

伊藤さん、うれしいコメントありがとうございます。

ブログという形式でどこまでわかりやすく書けるのか。
丁寧に説明すると文字ばかりになってしまい、大事なポイントが伝わっていないのではないか。

僕自身とても不安なのですが、伊藤さんのような反応があるととてもうれしいです。

お時間あるときに他のコンテンツにも目を通していただき、何かありましたら気軽にコメントしてくださいね。

投稿: でき杉 | 2015/01/13 22:05

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