R5年度の樹木医選抜試験になんとか合格したので、その体験記を書いてみます。
ただし今は選抜試験に合格しただけで、これからまだ研修と試験、面接が残っているので樹木医になれた訳ではありません。
まだまだやるべきことはありますが、少しでも樹木医を目指す人の参考になればと思います。
勉強期間は約半年。
勉強時間は平日が30分から1時間ほど、休日は3〜4時間。
僕は林業歴は20年を超えるけれど、大学も文系で専門的な知識はほぼゼロ。
では、どのように勉強したのか、そのやり方や参考図書なども挙げて振り返ってみます。
(最新の情報は樹木医試験を実施している日本緑化センターのホームページを参照してください)
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2023 1/14(試験まで約半年)
「梶谷さん樹木医の勉強してます?」
「いや、全然してないけど(笑)」
「僕もうテキスト読んで、過去問3周して、今は関連図書読んでますよ」
「え…」(気絶)
実は、みえ森林・林業アカデミーで一緒に講師を務めている友人3名と樹木医を受ける約束をしたのが昨年10月。
それから仲間たちは本当に勉強を開始していたのに対し、僕は何もしていなかった。
帰宅後、すぐに過去問を購入。(テキストは樹木の勉強しようと思って5年ほど前に購入していた)
もうやるしかない。
1/28
手に入れた古い過去問の半分ほど終えたところで、正答率が1割ほど。
そもそも設問の用語がわからない、その漢字すら読めないこともしばしば。。
なのですぐに過去問の答えを見て、その解説を理解するよう努力する。
それも全くわからないので用語を検索して、参考になりそうな本の該当箇所を読む。
1年分やるのに、とにかく時間がかかる
2/8
過去問の2周目に入る。
正答率はまだ4割ほどだが、一通り傾向がわかってきた。
よく出る問題というのはやはり存在しているので、問題を解きながら解説にある菌根や病原菌などを大きめの付箋に書き出していった。
過去問は解説が充実しているので、正解を覚えるのでななく、そこに書いてある解説を理解するよう努めた
2/20
3周めに入り正答率が5割に。
ここではまだ論述問題には手をつけていない。
ひたすら選択式を繰り返す。
3/23
仕事の都合で半月ほど何もできず。
過去問3周目を終え、どこが間違えるのかわかって来たので、そこを集中的に覚えるためにノートを作る。
具体的には菌、病気、傷がややこしいので、そこを中心に。
4/16(試験まで98日)
試験まで100日を切ったが、手元にある過去問の正答率は7〜8割。
ノート化したところは正解するが、わかりにくいところはまだ取りこぼしてしまう。
高校生物の理解、花芽分化、虫害の暗記などがまだダメ。
ノートはこのように二つ折りして、付箋に書き出していた覚えるべきところを問題と解答にまとめっていった。(森林インストラクター試験の時と同じやり方)
なるべくA4 1枚にその分野が収まるようにまとめて、集中して覚えられるようにした。
後からどんどん追記するので、最初は余白を多くしておくが、最終的にはごちゃごちゃに。
でも、自分でまとめてるから、これでも全然頭に入る。
4/23
まだ直近の過去問が買えていない。
なのでテキストを走り読みしている。
結局、最後までテキストは読み込まず、過去問でわからないところを参照する程度に使った。
だって700ページもあるんだもの。
4/28(試験まで約90日)
過去問7周目にして9割以上得点できるように。
あとはベンゼン環や微生物の大きさみたいな文系には何がなんだかわからない問題もあるので、こういうのは最初から手をつけていない。
どうしてもよくわからない問題が毎年2、3問あるように思うので、そういうのは諦める。
5/25(試験まで約60日)
GW明けから、直近4年分(コロナで1年試験がなかった)の過去問に着手。
7割は取れると思っていたが実際は4〜5割とかなりショックな結果に。
これまで取り組んでいた過去問が10年以上前のものだったので、傾向が少し変わっていたように思う。
5月中にこの4年分を仕上げ、6月からは論述に取り組まないといけない。
6/1(試験まで約50日)
論述対策として過去問の分析から入る。
森林インストラクターの試験と違って論述の模範解答がないので、解答を自分で作らないといけない!
「剪定」「外来種」「ナラ枯れ、マツ枯れ」「都市化、温暖化」「街路樹」のように論述の過去問をまとめた。
問題文の中で、とにかく検索できるものは検索して、キーワードをまとめるように努める。
AIももちろん活用したが、専門的な解答は得られないので、その論理の組み立て方を参考にした。
MicrosoftのbingやGoogle bard、chatGPTを試したが、2023年の初夏の段階ではchatGPT(無料版)が一番うまくまとめていたように思う。
ちなみに、論述は画像を見て答える問題や樹木医として何ができるかを問う問題もあるので、検索やAIが役に立たない問題も多い。
6/10(試験まで約40日)
論述問題の整理も終了。
論述問題も選択式と同様に2つ折りノートを作った。
論述問題は400字前後で書かせるのだが、400字の回答文を作ってそれを覚えるようなことはしなかった。
同じ問題はもう出ないわけで、キーワードを挙げてそれをきちんと使えるようにしたほうが良いと思うのだ。
なので、キーワードをノートにまとめて、それを論理的につなげられるようにするようにしていた。
覚えにくいところはスマホに入れて、隙間時間に見直すことができるようにもした。
こう書くと順調に勉強しているように思うが、言っても日中は普通に仕事をしている文系出身50歳のおっさんである。
そりゃ勉強(理解と暗記)なんてやりたくないのよ。
できれば仕事が終わったらダラダラして翌日の英気を養いたいのだ。
でも、受験すると決めたのだから、やらないといけない。
そこで、本当に助かったのがポモドーロテクニック。
これはタイマーをかけて25分やって5分休憩するというもの。
たったそれだけ。
これが「勉強しないといけない」と考えると嫌なのだが、とりあえず1コマ25分だけやればいいと考えると気が楽になる。
大体、22時前後から1コマ勉強(過去問を解く、理解する、暗記する)するようにしていた。
もうギリギリまでスマホをダラダラと見続けて、とりあえず1コマ頑張ろうと。
でも、頑張れない時は、そのまま寝てました。
眠いのを我慢するより、寝た方が絶対良いです。絶対に。(45歳くらいまでは起きてられたのに、今はほんと無理)
ちなみにノートづくりなどは勉強の準備なので、それは別に苦ではないし、ポモドーロを使わずにやってました。
6/23(試験まで30日)
一ヶ月前からは早朝、仕事前に過去問(選択式)を解き(ポモドーロ1コマ)、夜に論述対策(1から2コマ)。
論述ばかりやっていたから選択式を久しぶりにやると正答率が7〜8割になっていた。
今から新しいことを学ぶのではなく、今ある問題を確実にできるように。
7/13(10日前)
仕事中急に左足首に激しい痛みが。
どうやら板間でいつも同じ胡座をかいて勉強していたため、下になっていた足首に負担がかかった模様。
こんなことにも気づかないほど、切羽詰まって勉強していた(ポモドーロ1コマ、2コマだけど)。
激痛。もう胡座をかいて勉強もできない。
数日前から足首に痺れがありおかしいと思っていたが、まさか。
さらになるべく書いて勉強していたら、ペンを握る人差し指と中指が痛くなってしまった。
こちらはどうにもならない程ではないが、悪化しないよう気をつけたい
この頃は過去問1年分がポモドーロ1コマでできるようになっていて、捨てた問題以外全て正解できるようになっていた。
正解を覚えるのではなく、設問のどこがなぜ間違っているのかも解答できるようにしていた。
7/22(試験前日)
迷ったが当日の朝焦りたくないので、試験会場に前入りすることに。
会場の近くに宿をとり、試験会場の下見を済ませる。
前日は、最後の復習。
気持ちは焦るが、同じこと繰り返すしかないと言い聞かせる。
足の痛みはかなり良くなり、手の指はまだ痛いがなんとかなる。
人事を尽くして天命を待つ。
7/23(試験当日)
会場入りすると、とても人数が多い。
どうやらコロナ明けということもあり全国的に受験者が増えたらしい。
受験者数は500名弱、この中から90〜100名程度が合格する狭き門だ。
といってもこれは仕方ない。やるべきことをやるだけ。
選択式が終了。
30分前には解答を終えた。(90分35問)
過去問の傾向から外れるわからない問題が5.6問あった。
これを全て間違えて、あと1.2問間違えていたとしても7割以上は取れたと思う。
そして論述式も終了。
時間はもうギリギリだった。(90分で3問)
1問目がどう答えて良いか、まとめにくく時間がかかってしまった。
「公園のサクラを残すにあたり、住民にどのように説明するか樹木医の立場で3つ提示する」というような問題。
これに30分以上かかってしまった。
文字数は3問とも380字ほど埋めた。
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<結論>
今回、なんとかギリギリ合格できたのは、最初にタイムスケジュールを確認したことが大きいと思います。
試験まであと何日あるか、いつまでに何をやらないといけないか。
これを常に意識していました。
だから、途中仕事が忙しかったり、ダラダラしたくて勉強できなくても、ある程度予定通り進んでいれば良しとしていました。
勉強法は、過去問をできるだけ集めて(僕は11年分手に入れた)、それをひたすら繰り返しました。
最終的に10回以上やっていたと思います。
過去問は解説が充実しているので、そこを理解するようにして、わからないところは検索とテキスト、参考図書を参照しました。
7月に入ってからは解説が頭に入ってきて、それが色々なところで繋がるようになり、「これはこういうことだったのか!」ということが何度もありました。
こうなると樹木医の勉強は本当に面白い。
林業だけやっていたのでは、到底辿り着けない世界でした。
まだ、樹木医になるには乗り越えなければならない試験があります。
研修合宿が始まるまでまだ時間があるので、また勉強を始めたいと思います。
<参考図書>
難しい専門書を読み込むイメージがあるかもしれませんが、僕が参考にしたのは本当に一般的なものです。
文系だったので専門書を読む力がないのは分かりきったこと。
なので、以下に挙げた基礎的なものを繰り返し読んで理解するよう努めました。
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