奈良県吉野地域に伝わる杉皮採り
奈良県吉野地域は、伝統的な林業地です。
吉野では機械化・スマート化が進んでいるところもありますが、まだまだ伝統的な作業が残っています。その一つが杉皮採りです。
杉皮は寺社などの屋根材や、意匠の一つとして今も使われる素材です。
そして、今では杉は丸太としては価格が安くなり採算が合いにくいので、この杉皮を販売することで利益を出していく大事な商品になっています。
杉皮は節の跡があると使えません。
密植して、枝を太くせず、丁寧な枝打ちを繰り返すこの地域だからこそ可能になる商品なのです。
そんな杉皮採りの現場の様子を紹介します。
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1. 7月の土用を過ぎたら、杉伐りが始まります。
もちろん杉皮はそれより前の5月6月でも剥くことができますが、成長が盛んな時期であり虫の害が発生しやすいので、土用を過ぎてから作業を開始するのがこの地域での慣習です
2.上方伐倒した杉に1間ごとに(余尺を見て)マーキングします
そこに回し鎌を入れ、皮を切断していきます
皮が厚いと鎌で切るのが本当に大変。
かといってチェンソーでやると丸太(材)に傷がついて材価が落ちてしまうので、このように鎌で入れるのです
もちろん、場合によってはノコギリやバッテリチェンソーを使うこともあります。
3.皮剥き
まずは塩ビパイプの先端を尖らせたもので画像のように一本の筋を入れます。
もちろん、これはヨキのような刃物でもできます
4.ヒノキの枝を加工したヘラで剥いていきます。
地面に接してしまったところは剥けないので、それ以外をくるりと剥きます
5.丸めて運ぶ
一周、くるりとキレイに剥けると運ぶのも楽です
6.運んだ皮は番台の上に互い違いに重ねていきます
ある程度このまま放置して、乾かすと同時に丸まっている「クセ」をとります。
現場でやるのは、ここまで。
あとは業者が取りに来るか、木材市場に出荷したりします。
このような美しい皮の採れる立派なスギに育ててくれた先人たちに感謝です。
僕たちも次の世代に残していかなければ。
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