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2016/05/17

KEM第3回ツリーケア・プロダクツ テクニカルデモセミナーday2

それでは初日(とその続き)に続いて、二日目のセミナーも整理しないでざっと書いていこうと思います。
これまで同様、細かい用語の違いとかは気にしないでくださいね。
もちろんMarkさんはちゃんと説明してくれるんですけど、走り書きしているので、そのへんはご容赦ください。


(昨日のハーフヒッチ&ランニングボーラインの質問に対して)
分散は的確な表現ではない。
荷重はまずハーフヒッチにかかってからボーラインにかかる。
シェアではなく時間差。
ハーフヒッチにかかった余りがボーラインにかかるのではないか。

(質問)枝は位置エネルギーを持っている。
切り落とした時に、運動エネルギーに変化する。
エネルギーの総量は変化せず形が変わる。
ロープをつけずに落とすと地面に当たって変形させるエネルギーに変わる。
つり下ろすとロープの伸縮エネルギーにも変わる。
枝の動きでもエネルギーは変化し、ロワリングデバイスでも熱エネルギーに変わる。ブロックのスリングにも分散される。
アーボマスターの研究では、エネルギーの吸収としてロープを長くするとよいと言われている。
研究の結果では、明確ではないけれどシステム全体で荷重を1/3くらい吸収しているとなっていた。
またもう一つはトップカットで枝葉がついてる時とついてない時の研究で、枝葉がある方が空気抵抗でエネルギーが吸収されるともあった。
位置エネルギーは色んな形に変換されていて、リギング作業が成り立っている。

(質問)安全率は大事だ。
MBS(最小破断荷重)と使用荷重あって、安全率を4にすると1tの荷重なら4tのものを使わないといけない。
例えば、GRCSは1tまではかけていいと言われているが、ダイナミックでは100キロまでにしている。
安全率は大きくとって使っている。
通常の仕事では100キロくらいは多いと思うけど、200キロとかになったら慎重になるよね。
重たいものを吊る場合、もう一本ロープを足すとか、小さくして落とすとかの対策とる必要があるだろう。


Img_0992
仕事のなかでは摩擦とうまく付き合っていかないといけない。
アンカーポイントの場所を決める時、単純に強度で選ぶのか、他にも選ぶポイントはあるのか。

ベクトルには力と方向の要素がある。僕は物理学者じゃないからね(笑)
リダイレクトのアンカーをみるとメインアンカーに向かう力F1と材に向かう力F2の2つある。
プーリーがあるから摩擦は考えないようする。
ふたつが合わさってF3の力になる。
リダイレクトプーリーが移動してもF3の合力の方向はあまり変わらない。

枝の角度が鋭角の場合。
F3が枝を圧縮する方向ではなく枝を曲げる方向になる。
この違いを意識することが大事。


Img_0993
プーリーの位置。
枝を曲げる力を弱めるためにはプーリーを追加してベクトルを変えてやる。
高い位置に設置することで方向が変わって強くなる。
考えすぎて幹にかかる力とか言い出すと複雑になるので考えすぎないこと。

(Paulさん)木の全体の略図(地図)を書いてシステムの中でF3を書き出してみると分かりやすいんじゃないかな。

Img_1003
材を吊りあげる時、枝とロープが90度の角度が理想的。
あとはフェイスノッチの角度も大事。
枝を引き上げて垂直になった時にツルが切れるのが理想的。
フェイスノッチが大きすぎて切れないとアンカーポイントに力がかかって行ってしまう。
切れない場合、クライマーが切り行くと枝に力がかかっていてケガをすることが多い。

受け口をうまく作るにはまず水平に入れること。
次に枝の中心線に対して90度で入れる。
そしてバックカットを入れると垂直になった時にツルが切れるようになる。

(質問)垂直から直角に切るやつでも問題ないけれど、先に水平にした方がやりやすいから。
もちろん仕事のなかで微調整は必要だけど、こういったガイドラインが持つことが大事だ。

切り離された材がどう動くかも考えないといけない。
切った枝の途中に障害物がないかも確認しないといけない。

予想するときも長いスパンで考える必要がある。
2本目3本目の枝のF3が変わってくるかもしれない。

どんな力がかかっているか想像できるようになれば、それを利用して作業できるようになるのではないか。

(Paulさん)重力はやっかいだけれど、それも利用してリギングを効率的に進めていこう。

マークさん自身も大きな材を動かす時は、「俺に出来るか」と思う時もある。
学んだ知識を総動員して、「難しいけど出来る!」と仕事に向かうことがある。


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A2 荷重移動
このテクニックは2つのアンカーポイントとって、リギングラインをコントロールすることによって、動かすことが可能になり、ダイナミックになりにくい。


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幹ではなく、アクセスラインにランヤードをつけると幹から離れることが出来る。
(アクセスラインにアルパインバタフライを作ってそこにランヤードのカラビナをかける)


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A3ドリフト
吊ったまま横に移動させる。
真下に障害物がある場合などアンカーポイントを離れたところにしておけば、十分に移動させることが出来る。


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これのいいところは枝が大きくても安全に逃げれるし、ショックも少なく切り離すことが出来る。

密集したところの多い日本の環境では単に枝を切り落とすのでなく、2つのアンカーポイントをとって枝を動かすのは有効ではないか。


Img_1122
B1
グラウンドはクライマーが上でセットしている間に、使っていないロープなどを片付けておく。

細かいことを気にしているかどうかで全体の効率が変わってくる。

昨日も言ったけど、リギングのエンドにストッパーノットを作って、さらに5mくらい離れたと頃に作っておくとクライマーのところにロープが垂れて作業がしやすい。

グラウンドのワークポジションはクライマーの見える位置とリギングライン、ロワリングデバイスの確認出来る位置にいること。

巻く回数が足りない場合は支えきれなくなる。
その場合は頑張って支えきるのではなく、ロープを離してしまうべきだ。
いざという時に材を落としても平気なのか予測しておくべき。
落とせない場合は、そのつもりで対処しておく。

(GRCS)ドラムにだけ摩擦をかけて、ピッグテールには90度以上曲げるなどの摩擦をかけないようにする。


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A5引き上げて切り離す

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A7アンカーポイントは材の上にある。ステップカットで吊りあげる

グラウンドは吊りあげる材の大きさをクライマーの身長で判断する。

(GRCS)作業が終わったらウインチからロープを外しピッグテールも戻しておく。次の作業に入りやすくするため。

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B2バットタイ
例えばパイロット1人が責任を負っている場合、エラーがでると墜落してしまう。
複数で負うことでエラーが起こるのを防ぐようにする。

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20キロの材をダイナミックリギングして1tまで荷重の増加があった。

クライマーの命はグラウンドにかかっている。信頼性が大事だ。


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A8 vリグ
倍力になっている。プリテンションはウインチの倍力の小さい方で限界まで巻くのがいい。
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倍力を効かせるため、なるべく角度を鋭角にしたい。
どのような角度にするか考えないといけない。

Aシナリオはダイナミックリギングではないからバッテリーチェンソーを使えば施主が気づかないうちに仕事が終わる。忍者リギングだ(笑)


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A6スピードライン
日本ではスピードラインが好きな人が多いようだけど、万能ではない。
ある状況下では有効だけど、別の状況下では役に立たない。
なので午前中はドリフト、ロードトランスファーをやった。

ハンドソーとかチェンソーを使う時はタイインポイントとバックアップを取ること。

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枝を下から切っていって、それを持ち上げて行き3本集まったら、スピードラインで流すというシナリオ。
衝撃荷重をかけたくないから、こういうシナリオにしている。

Img_1068
インパクトブロックをスピードラインに乗せて、さらにコントロールラインをつける。

2つのウインチがあると便利。スピードラインにテンションをかけるものと荷重を一回抜く必要があったから。

スピードラインは例えば障害物を超えて材を送る場合はテンションをよりかけるかアンカーポイントを高くする必要がある。
そういう場合はドリフトラインなどの方が良いかもしれない。よく検討すること。

スピードラインはドリフトラインよりもアンカーポイントにかかる力が大きくなる。

(Paulさん)荷重と力は違う。

チームでシステムなど共通の用語を統一しておくと良い。


ーーーーーーーーーーーーーー
(以下、質問)
PPE。自分の身の安全を守る。
そういったものは法律で決まっていて、いつも心がけている。
リギングについてはPPEのような規則がない。
野放しにしていると事故になってしまう。

リギングは色んな道具(machine)によってできていて、この1つ1つは法律で規制されている。
それがエンドユーザーに十分伝わっているかは怪しいところがある。
道具やロープ、それぞれが組み合わさってシステムができている。
それらが最良の状態で動いているか気をつけている。

道具を買う人はマニュアルや必要な情報に対しても対価を払ってはずだが、現状情報が行き渡っているとは思えない。

リギングシナリオは無限にある。現場に応じて作る必要がある。
木は規格で決まっているわけではなく、一本一本違うのでそれに合わせて組み立てる必要がある。
1人1人も違うし、それぞれのチームでも違う。
できるだけ自分たちの得意分野をもつと良いだろう。

リギングシステムでベストシナリオではなく、ワーストシナリオを想定して作業している。
器具のどこが弱いかとかはわかるけど、取り付けた位置のどこがウィークポイントになっているかとかはわかりにくい。

(Paulさん)リギングは全体大きな機械と考えられる。
全体の強度と個々の強度を考える。
材の動きも大切だし、チームの力量に応じた作業にしないと、そこがウィークポイントになることもある。

一緒に現場を見に行ったスイスの役人が言ってた。
重い丸太を運んでるけど、なぜ彼は向こうにある運搬車を使わないのかと言われた。確かに作業者の身体を痛めないことも大切だ。

日本のようにお祓い、お清めとかはしないけど、作業始める前には、みんなで集まってツールボックスミーティングをしてチームワークを高めている。心を静めている。

26年の経験がある。それでもまだ学ぶことだらけ。

自分の能力を超えた時に他の人に頼むこともあるだろう。
それができるのも作業責任者にとって大切なこと。

なぜキンクが起こるのか、これはミステリーだ。
もう少し詳しく調べたいと思っている。
ロッカーイーの開発をしている時にロープにひどくキンクが発生してイヤになって開発チームから外れたことがある。
キンクの1つの原因はロープバッグから全部を出さないで同じところばかり使っているとなるかも。
一度全て出して使うと解決することもあるかと。

現場責任者はリギングシステムを組んだ時に最善だけでなく、最悪のシナリオも考えられる人。

アクセスラインはどうしてつけておくか。
一つはこれで作業するところまで早く登れるから。
もう1つはもしクライマーに何かあった時、助けに行けるから。
で、このオレンジは上で折り返していて、全体のクライミングシステムを下ろせるようにディセンダーについている。

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ディセンダーのストッパーとしてバタフライで止めておくとショックロードがかかったら効いてしまって外せない可能性も。
ショックがかかってズレてしまっても平気なようにハーフヒッチにしている。

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2つのエンドを固定することでシングルでもフットロックでも使うことができる。
普段使っているのもはスプライスでリギングハブをつけっぱなしにしていて、オレンジラインも枝をまたぐところにカバーをつけている。

リギングハブにはあとで使うものや、飲み物をぶら下げておくこともできる。

一本のロープで2つのシステムを使えるのか。
普段は2つ使うことがない。
緊急時は2人で使うことになるからアンカーポイントが耐えられるかどうか。
ロープは2人ぶら下がっても問題ない。

(Paulさん)トランクアンカーにする時はプーリーを使わないほうがいい。ナチュラルクロッチのほうが枝にかかる負荷が少ない。

続く

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