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2015/12/21

危ないところ

え〜っと、まずこれを読む前に皆さまに一言。
受験生やその家族の方は読むのをお控えください。
敏感なこの時期にそぐわない内容のブログとなっておりますゆえ。。


あと、この記事が突然消える可能性もあるんで、気になる人はよーく読んでおいてね。


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それでは、早速。
神社での木登り仕事だったんですが、アンカーに使っていた枝が折れまして僕は落下、というかランヤードにぶら下がる状態になったという事故の報告です。
最初に断っておきますが身体はまったくの無傷です。
そして、仕事も問題なく終了しております。


・状況説明(ヘタな図解付き)
樹齢600年とも言われている杉の巨樹の枝おろしの依頼でした。
樹高は40mを超えるくらい。

まず、地上からスローラインを投げて20m弱の枝に掛けてそこまで登っていきます。
そこからさらに登っていかなければならないのですが、幹は直径1.5mあってランヤードが回せないし、枝が離れていて、枝づたいにはとても登れませんでした。
幹を回り込むようにしようにも、その枝にもランヤードがかけられないのです。
Img_6136
頭上3mほどに枝があります。
一本は1.5mほどで折れてますが、細い生き枝がついてます。
もう一本は図ではわかりにくいのですが、斜めの方向に生えてました。
ともに直径20cmくらい。

登っていくには、この枝にスローラインをかけてロープに入れ替えて行くしかないと判断しました。


Img_6132
折れた枝は生き枝がついてるとはいえ、怪しい感じがプンプン。
なのでロープは根元にかけたかったけど、10cmほど幹から離れたところにセット。
登る前にしっかり体重をかけてバウンスチェック。

この時なんで左隣の枝にスローラインを掛けなかったのかというと、かけられなかったという方が正解な感じです。
折れてる枝が邪魔してその枝に投げられなかったんですよね。
2本まとめてかけようと思うと、折れてる枝の先の方にかかってしまうし、樹上で頭上にスローラインを投げるというのはやったことがある人はわかるでしょうが、結構コツがいるものなんです。


結局、図のようにDdRTを作って登って行きました。
怪しい雰囲気はあったので、横の枝にランヤードはかけたままです。

で、

Img_6141
案の定というやつです。。
アンカーにしていた枝が根元からもげるように折れて、僕は1mほど落下。
ランヤードにつられるように身体は右に振られながら、枝の上に落ちました。
乗っかった枝はメインの太枝以外にも根元から直径10cmくらいの枝が数本出ていてちょっとした台みたいになってたんです。
そこに僕ともげた枝も落ちました。
もげた枝は勢いで下に落ちそうになったのですが、ちょうど僕のDdRTがかかっていたので、そのロープに引っかかって地上まで落ちるのを免れました。


これは本当に危機一髪で、ランヤードに身体が振られたせいで、もげた枝(直径20cm、長さ1.5mほど)が身体に当たらずに済んだんですね。
足場にしていた枝があったおかげでランヤードだけにぶら下がる状況にはならなかったし、もげた枝もそこに落ちて勢いが殺されてDdRTからすっぽ抜けるような状態にならなかったんです。


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いかがだったでしょうか。
ちょっと文章わかりにくい?


で、僕はランヤードをかけていた枝にアンカーをセットしてもげた枝をレスキューw
しながらとりあえず地上まで降りました。


・考察
そもそも怪しい枝にラインをかけざるを得ない状況になったのが悪かったので、もっと別のところに地上からのスローラインをかければよかったのが一つ。
しかしハンドスローでは僕がかけたところが一番よかったので、より高くかけるならビッグショットや空気砲が必要だった、けど持ってない。。


次にDdRTをセットするのを、やはり隣のしっかりした枝にかけるべきだったというのが一つ。
結局、僕は地上で休憩した後、事故ったところまでまた登り、そのしっかりした枝にDdRTをセットして(もげた枝がなくなったから簡単にセットできた)登って行ったので、最初からそうすべきだったのではないかということ。
これについては上でも書きましたが、それはかなり難しかった。

でも、時間をかければできたはずなんです。
この現場の見積もりは僕がしたんですが、実際登ってみると想像以上の巨樹だったので、かなり焦っていたんです。
初日の一発目でトップアンカーもブロックもまだセットできてない、てかまだ全然登れてない!という焦り。
「早くしなきゃ!」という気持ちが安全よりも簡単に早く登れそうだという選択をしてしまった。。。


あ、でも最初に書いた通り、焦ってはいても安全策は取っていたので、結果として身体はなんともないし、仕事も順調に終了しております。

この記事が誰に役に立つのかわからないけれど、僕自身の反省もこめてここにあげておきます。

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林業(特殊伐採、樹上伐採)」カテゴリの記事

コメント

何よりご無事で良かったですね!

事故にあったあと、何故あのとき、そうしておかなかったのかってこと、有りますよね!

しかし、その枝が怪しいとKYて出来てたから、ランヤードもかけられてたし、怪我が無かったんですね!そちらの神様が守ってくださったのかな?

ご安全に❗

投稿: ウルトラ・キコリ | 2015/12/21 09:32

その枝の成り立ち-初めからもしくは古くからあったのか、比較的新しくできた後生枝で幹との結合が弱いのか?
枯れても丈夫な枝もあれば生でも剥がれやすい枝があります。

それを見極められる目が大事です。
「怪しい」と思った時点で分かっていたことですから、紙一重だったと同時に想定内だったとも言えます。

自らに厳しく、安全第一の徹底ですね。
そしてきわどい枝があるなら、下にある社殿などをカバーする予算も見ておくのがベターですよね。

投稿: だん | 2015/12/21 23:50

キコリさん、ありがとー

枝が怪しくなくてもランヤードはかけてたはずです。
全ての条件が揃った上での結果なので、必然と思いますが、僕は「運がよかった」ということにしたいですね。

最近、神社仕事が続いてたからうまいこと神さまが気づかせてくれたのでしょう。

投稿: でき杉 | 2015/12/22 20:14

だんさん、コメントありがとー

枝は後生枝じゃなかったですね。
どんなに太くても杉枝なのでやっぱり注意してました。
でも、ほんまに折れるとは!って感じでしたよ。

今回の枝は下からは全く認識できなかったけど、社殿のカバーも含めて見積もりはチームとしてもう一度検討が必要との結論になりました。

今回めっちゃ安かったからね。。。

投稿: でき杉 | 2015/12/22 20:24

直径20センチで折れちゃうんですね~
上伊那の講習を受けたとき、「アンカーPは枝の太さだけで判断してはいけないよ」といわれたのを思い出しました。バウンスチェックで枝に傷をつけてしまったんでしょうかね~。
樹種や折れ状況、樹皮の状態を勘案して まあ最終的に判断するしかないとは思いますが
樹上では 「有効な」ダブルアンカーが必須だなと改めて思います。
いずれにしても怪我が無くて何よりでした ($・・)/~~~


投稿: e | 2015/12/23 10:11

eさん、どうもです!

どんなに太くても枝年齢200年超えてても、やっぱり杉なんですよね。
モロいモロい。

この枝は生きているのか、枯れているのか。
僕は生き枝がついていたことで、生きていると判断しましたが、それは本当に一部だけで、枝の内部は枯れていました。
冷静に考えればわかることですが、時間的、技術的に余裕がなくて、違う手法をとることができなかった。
日々、勉強です。

投稿: でき杉 | 2015/12/25 20:54

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