ヒノキ大径木伐採の写真解説
今日はヒノキの大径木伐採の手伝いに。
使用したチェンソーはスチール661C-M。
ガイドバーは90cm。
661ってガンマークが十字に入ってるんだね。
これは便利! 全部のチェンソーがそうなってもおかしくないのに。
伐採を担当したのは、奈良県吉野における若き伝説「中平林業」。
大径木から難儀な木まで踏んでる場数がとにかく圧倒的。
これぞ吉野の山いき。
それでは、写真とキャプションで一部始終を。
伐採後、受け口がちょうどうまく閉じるように、山の斜面と平行になるように。
受け口が早く閉じてしまうと、追い口側が跳ねて裂けてしまう可能性が高まる。
受け口が大きすぎる(広すぎる)と、木が倒れて地面にドーンと着地した時に、受け口の斜め切りの面が切り株に乗っておらず(間が空いていて)、木が暴れてしまう。
木が着地した時に受け口がちょうど閉じると、着地の衝撃をうまく支えてくれる。
受け口の方向、深さ、どこにツルを持ってくるかなど慎重に検討する。
ガイドバーのケースを目安に、平行になるようにチェンソーをいれる
さらに確認
とにかく受け口を慎重に完璧になるまで確認する
かるく芯抜き
ツルの部分が弱いと裂けてしまう可能性があるので、皮をめくって確認する。
今回、矢印の部分に異常(縦筋)がみられたので、受けの大きさと追いをどこまで入れるかを慎重に確認して、チョークでマーキング。
追いの高さも、伐倒して幹が山の起伏に当たって元株が跳ねてしまうような場合は、なるべく低くして木が割れてしまうのを防ぐ。
今回は、通常の高さで。
そして、伐倒時の衝撃で幹が割れないようにワイヤーで締め込んでおきます。
よその山に倒しこむため、当たりそうな木は引っ張ってよけておきます。
伐倒木の牽引は滑車で角度をかえてチルホール。
牽引ロープの高さは伐倒木のだいたい真ん中くらい。
あまり高すぎると、追い口を入れている最中に裂けあがってしまう可能性が高まるためNG。
追い口を入れる際、チェンソーが水平になっているか、また水平に切り込んいけるか、もう一人がしっかりと確認してからチェンソーを入れる
矢を入れるのは、薪割り用の斧で。
重さがちょうどよく、木を割ったりもできるから。
まあ、ハンマーより応用が利くということで。
追いを入れている最中、木がミシッミシッと言いだしたら、ツル(矢印)の部分をハツって割れが木の方へ走っていないか確認する。
上側つまり木の方へ入っていたら、それ以上割れが入らない、走っていかないように一気に追いを入れる。
下側つまり切り株へ入っていたら、安心して追いを入れていく。
言葉で説明するのは難しいけど、とにかく木を割ってしまったら、価値が一気に下がるので、そうならないように慎重に大胆に。
玉切り時も木が割れてしまわないように、木で支えて、矢打ち込んで、元側の木口を少しだけ面取りします。
木が落ちていかないようにロープで控えます
んで、この子も切り取ります。
高さが110cm、根張り直径2m。
切り取り担当、でき杉。。。(汗)
スチール084(ガイドバー120cm)、661、261、260、ハスク357を駆使して、チェンをボロボロにしながら切り取りました。
正直、伐倒よりも時間がかかりました。
みなさん、本当にすみませんでした。。。
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コメント
いやぁ、ある意味
量の林業も大事だけど
質の林業もありますよ
林業の技術ってのは奥が深いですよ
っていうことを感じます。
読んでて
非常に 気分が良いです(笑)
投稿: 祝スギ | 2015/10/14 07:18
メインイベントで登場したんですね (^_-)-☆
きっと切粉まみれになったんでしょうね。
プロの仕事レポ、大変勉強になりますです ( ..)φメモメモ
投稿: e | 2015/10/14 19:55
祝スギ先生、おつかれさんです。
彼らがすごいのは、親父さんから受け継いだものにとらわれてないところ。
「完璧な伐倒をする」という目的を達するためなら良いと思ったことを貪欲に取り入れてるし、あの若さでこの仕事っぷり。
あっぱれです。
投稿: でき杉 | 2015/10/16 22:41
eさん、まさに木屑まみれです。
あまりにも見事な伐採だったから、僕も気合いれてギリギリまで大きく切り取ろうと思って、株の周りを限界まで鍬で掘って、、、
そりゃそんだけやったら石もでてきますよね。。。
投稿: でき杉 | 2015/10/16 22:44
初めまして 寂粋庵 と申します。いつも出来杉様ならびにSkyteamの皆さんの作業内容や、ご活躍、陰ながら楽しみに拝見させて頂いております。同じClimbingSystemを使用しての作業は、時には参考にさせて頂いたりもしております。機会が有りましたら是非、出来杉様のイベントにもいつか参加させて頂けたらと思っている次第です。同じ木に登る立場として、くれぐれも怪我の無いように頑張って下さい。寂粋庵でblog、Facebookもやっているので余程お暇な時が有ったら遊びにでも来て見て下さい。あまり参考になる事は無いかもですが(-_-;)
投稿: 寂粋庵 | 2015/10/18 15:18
寂粋庵さん、はじめまして。
木登りイベントの時には、たくさんの人が集まってくれるので、とても刺激になりますよ。
いま、ブログみてきましたが、スピードラインをよく使うんですね。
僕たちも使わないことはないですが、今後はもっと増やしてもいいかなと思いました。
そういえば、寂粋庵さんの10/4のSラインの写真、カラビナがマイナーアクシスになってしまってますね。
特伐あるある、ですね。
お互い気を付けましょー
あ、リンクといいね!つけさせてもらいます!
投稿: でき杉 | 2015/10/18 22:00
出来杉様おはようございます(^_^)
さすがに気付きましたか(^_^;)
やはりお目が高い(*_*)
コナラの時は実はスピードラインをやるつもりではなかったのですが、急遽みたいな感じで手持ちのベルトスリング使ってしまったんですよね~
で、あるあるみたいな感じです。
やはりこうゆう所でちゃんと気を引き締めないと行けませんね(笑)
投稿: 寂粋庵 | 2015/10/19 06:33
お見事ですね。ところで中平さんっておいくつぐらいでしょうか。
投稿: ns | 2015/11/06 21:02
nsさん、確か37、8です。
伐採担当も34、5歳。
本当に頼もしいチームです!
投稿: でき杉 | 2015/11/06 22:25
芯抜きって何の為にするのですか?
どうして受け口側から入れて、受け口の水平部分に高さを作るのですか?
投稿: アイスワイン | 2017/12/14 21:49
すいません解り辛いですね、
芯抜き受け口の水平部分の高さで切るのですか?です
追い切りをしながら、ある程度、追いを入れたところで
突っ込み切りで芯だけ切るのは危険でしょうか?
投稿: アイスワイン | 2017/12/14 22:04
アイスワインさん、芯抜きは木繊維の「抜け」を防ぐためです。
ヒノキは繊維に粘りがあって、ツルの部分で「芯抜け」してしまうことが多いんです。
って、この「芯抜け」がどういうものかわからないと理解していただくのは難しいのですが。。
ツルがちぎれる時に切り株側の繊維が長いまま残ってしまって丸太に穴が開いてしまうんです。
で、追いの時に細工するよりは、追いはツルを残すことに集中して、受けの時に切っておく方が簡単だからなんだと思いますよ。
投稿: でき杉 | 2017/12/14 22:48
お忙しいのに、ご返答を下さり、有難うございました。
仕事の上で時々、伐採をしますが難しく、危険だなと反省が多いです。でも、不思議に惹かれています。(植木屋です)
お礼が遅くなり、スイマセンでした。
投稿: アイスワイン | 2017/12/15 21:34