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2015/06/20

欧州型森林管理者研修2日目 スイスフォレスター研修

二日目も貴重な話が聞けましたよー

あと、個人的に気になっていた人と出会うことができ、それもとっても大きな出来事でした。
奈良県東南部の樹上ワーカーに召集かけないと!

Img_1473
今日は昨日と違って広葉樹主体の森でのワークショップです。


  • この現場での到達目標の設定が大事
    シイタケの原木を取るのか
    良材生産か
    道を守る保安林か
    目標がないと手段を選べない
  • 設定したら、実現可能かどうかを考えないといけない
    そのためにこの森の評価をしなければならない
    「お前(この森)は誰か」
    (現在の評価)
    非常に密になってる
    曲がった木が多い
    細い木が多い
    若い森、つまりやれることが多い
    針広混交林
    安定性の良い、材として価値の高い木はなさそう
    南向きの急峻な地形
    下草はあまり生えていない
    多層である
    下に道路があるので、これを守るというのは絶対
    ここは林業をやるためだけの森ではなく、道を守る森でもある
    なので、ここでは安定した木が最優先される
  • (過去はどうだったか)
    道がないとしたら、どうやってこの森が形成されたのか
    皆伐があっただろう
    針葉樹を植林しただろう
    広葉樹は天然更新で入ってきた
    下草刈りは長期間しなかったようだ
    樹齢20~25年
    成長の遅い条件のようだ、どうやって成長が悪いと判定したのか
    勾配がきついほど、養分が流れてしまう
    南向き斜面は夏の気温が高い
    シダが繁茂している、こういう土地は弱酸性で地力がない
  • フォレスターにとって大事なのは自然に発生したインジケーター、指標植物から土地の状態を判定すること
    指標植物は自分の担当地域に50種類くらいあって、これをマスターしている
    または土地の締まり具合でも指標植物が変わってくる
  • 現状、過去を見たら、次に未来、何もしなかったらどうなるかを考える。20年後にどうなるか
    広葉樹が光を求め(このまま)斜めに伸びていくだろう
    松が成長するためには光が足りない
    針葉樹は広葉樹に覆われるだろう
    この斜面の安定度、材のクオリティが落ちるだろう
    成長力が多くの木に分配されてしまう
  • ここから到達目標を考える
    所有者はここで林業をやりたいといっている
    林業ができる森の潜在能力があるのか
    作業員の技量はどうか
    それがうまくいかないと予想できるなら、この森に手を出すべきではない
  • では、何をすべきか
    ここで育成木施行をすると大変なコストがかかる
    できるだけコストをかけずに、安定させて材のクオリティを上げていくのが我々の目標
    エコロジーに取り組むような場合、広報活動が伴わないと自己満足になる
  • ここでやってはいけないこと
    小さな木を切っていくと凄いコストがかかる
    ここでは育成木は20m以上空ける
    開ければ空けるほど、コストが抑えられる
    育成木といのはまず安定性、ここでは材のクオリティを期待できない
    昨日のやり方よりももっと光を林内に入れる
    ここでは20年後に施行するつもりで強度な施行を行う
    単層林では強度が強いのはダメだけど、複層林では大丈夫
    単層林ではドミノ効果(風や積雪で立木が倒れてしまうこと)が発生する可能性があるけど、複層林では大丈夫
    強度のある施行というのは育成木に対して行うのであって、育成木の間隔が広いから森全体のコストは高まらない
  • 近自然の森作りはいつも同じではなく、相手(現場)によって変えなくてはならない
    これは大変だけど、面白い
    そして検証を忘れない
    施行によってどうなったのか、自分の思い通りになったのか
  • コストと効果、ビジネスということを忘れないこと
    パーフェクトな施行はコストになる、勤勉がいつも良いわけではない
  • この森のターゲットを環境保全にした場合
    環境、エコというのは漠然としている
    普通は何かの動植物を対象にした森作りになる
    その対象によって森作りは変わってくる
    いかにそれを実現するのか
    昔は保護団体とフォレスターは天敵関係にあった
    これではダメだと付き合うようになって、保護団体も実はあまりよくわかってないとわかった
    対等に話をするなら、相手よりも知識があると都合が良い
  • 風倒木が出た時、林業関係者にどうやったら仕事を出せるかも考える
    まず、植物のことを学んだ
    そしてチョウチョについて深く学びいまでは権威となった
    自分の地域では研究者にも負けない
    いまは保護団体や研究者と友人になった
    自然保護プロジェクトを自分の地域に引っ張ってきている
    年間2000万円くらい動いてる
  • もともと森作り、林業から始めてフォレスターになったけど、保護のプロジェクトでも林業からの視点がかかせないと感じている
    いまスイスで何をやっているかというと、保護地区でクオリティが高い材を生産している
    私有林でそれをやるのは簡単ではない
    山主からは抵抗がきます。持ち主の承諾なくはできません。
    まず、公有林の中で小さなプロジェクトを走らせて、山主が見に来れる場所をつくった(サンプル)
    林業に適した場所ではなく、林業ではうまくいかないようなところで環境保全活動をする
    環境保全団体からお金が出るし材も売れます
    あなたに負担はありませんよと説得する
  • 保護団体は契約を結びたがるけど、ロルフは信頼されているので契約なしにプロジェクトを走らせている
    材価が落ちている時は環境保全事業でなんとか食いつなぐことができる
    説得しなければならないのは所有者だけではなく、作業員も説得しなければならない
    「山仕事がないなら、保全作業をしてくれないか」(たとえば希少種を守る作業、富栄養化を避けるために落ちている枝の片付け、外来種駆除、草刈りなど)
  • 作業道について
    林業をやる場所に作る時、収穫しない場所に道は作らない。収穫するところに道を作る
    収穫する森に短い距離でどうやったら効率よく入れられるか考える
    道に木は植えられないから、道が長いほど、森の生産性が落ちる
    出来るだけ効率よく、出来るだけ短い道を作りたい
    道は所有者の境界は関係ない。つまり所有者を無視して全体から考えている
    全体を分割して考える。いまある道、尾根、川で分ける
    そのひとつずつでまず勾配を見る
    最終的には林業機械が入れる道をする
    勾配の見方は三段階、緩やか、中くらい、急(岩があるなども)
    急峻地は架線集材になる。スイスではタワーヤーダを使うのが一般的。
  • 次にどこに林道をつけるのか、ラインをひく
    総延長は出来るだけ短く
  • 基本林道、42トントラックが通れる道、最大斜度は12%(7度くらい)。砂利などで舗装する
    次の規格が、大型機械が入れる舗装された道
    3番目が大型が入れる舗装されてない道
    4番目が機械は入っていかない道
  • 基本林道は高い投資になる
    なので、必要最低限の道にするというのはとても大事
  • 道の費用は、連邦は保安林にはお金を出してくれる。それ以外は一切出してくれない。
    いまは2/3を州、残りを所有者が負担
    道を作る時には所有者の投票できめる
    道に投資するなら、長持ちする道しないとダメ
  • 林道で一番注意が必要なのは水
    雨ができるだけ短い道で逃げるように設計する必要ある
    表面をどうするか
    ひとつは道を谷側に傾ける
    この長所は山側に水路が入らないこと、安くできる
    短所は水が流れる量が多い。凍結すると滑りやすくなる
    二つ目は山形、カマボコ型にする。つまり水は両側に流れる
    山側に排水路が必要になる。山側の排水路は一定距離で水を逃す必要がある
    これは勾配のきついところでは使えない
    きつい場合は表面を舗装するか、水路をつけると良い
    勾配がきついほど水路がたくさん必要
    止水エースはダメ。土砂で埋まるのが早い
  • どんな道も作っておしまいではない。メンテナンスが必要。舗装しないならなおさら
    水路を正しく設計すれば、自己浄化能力のある道になる
    スイスでは日々のメンテナンスには補助はない
    天災で壊れた場合は出る
    所有者による組合があり、そこに資金をプールしている
    なにかあったらその資金を使う
    年会費で集めている。州も負担する
    ロルフの管理する62kmの維持管理費として1500万ほど円プールしている
    この組合が維持管理も担当している
  • 道の作設は州が全体のプランを見て設計コンサルが入って施工会社が作る
    この3つが全ての責任を持つ
    でも、このシステムではコストがかかりすぎると感じている
    設計コンサルはいらない。施工会社が直接すればいい
    普通の林道に複雑な計算はいらないので、設計コンサルはいらないのではないか大事なのは良い設計図ではなく、現場で柔軟な対応のできる技術者だからだ
  • 所有者は伐りたい、フォレスターはまだだという状況の時
    一番大事なのは所有者のことを良く知っていること
    もし所有者と違う意見を言うと引いてしまうから、相手によってやり方は変わってくる
    ある人は本人ではなく家族を説得する
    別の人はビジネスの話をする
    その人の仕事、奥さんや子供の名前を知らないのはダメ、その人の人生をしっかり把握していないとダメ
    直接本人にそれはダメだとは言わない
    まず、なんでその木を伐って売りたいのか聞く
    誰かに言われたかもしれない
    天然更新すると思ってるかもしれない
    お金が必要なのかもしれない
    つまり所有者がなぜ伐りたいかを知らないとうまく説得できない
    もし、誰かに言われたのだったら、自分は木の成長などの専門知識からまだ伐る必要のないことを説明できる
    それでも今伐りたいと言った場合は、森の中で今後の材価の値上がりが期待できない別の木の伐採を提案する
    自分のモチベーションは森の価値を高めること。所有者のモチベーションも高めながら自分も満足する仕事をする
    二者択一ではなく、両者が納得いくように提案していく
    この木を伐ったらギャップができて若木が成長すると思ってるかもしれない
    本当にそうなのか、現場まで見に行く
    別の木を伐って光を入れることはできないか考える
    所有者と話し合うだけではなく、現場で実際に見たり、他のうまく入ってる現場をみせるのも効果的
    最善はつくすけど、最後の決断は所有者が行う
    法に触れてる以外はそれを止めることはできない
    次の機会には別の結論になるかもしれないから所有者との関係は大切にする
  • 所有者がダグラスファーを植林したいという場合
    自分の経験からダグラスファーは難しいと説明する
    ノロジカ、オオジカから守らないとやられる
    守るにはお金がかかる
    獣害が平気でも雪害にあいやすいですよ
    40年間は投資が必要ですよ
    それでもやるのでしたら植えても構いませんよ
    それでも所有者は植えた
    まずブラックベリーに覆われて、やはりシカに全て食べられた。。
    もし、ここで「ほら見たことか」といったら彼との関係は終わりになる
    こういうことがあっても彼の立場になって何かできないか考える。
  • 一番の問題は一対一ではなく多くの所有者にかかわってくる場合、フォレスターに関係なく隣同士の所有者で揉めてる場合が多いこと
    これはまったく違う方向から解決することが多い
    他の所有者のことは絶対に言わない。「あの人はこうやってますよ」とか。
    いろんな人の感情を表に出させないこと
    所有者同士の感情論にならないように心を配る。
    長い年月を見ないといけない。森も人間関係も。
    横並び意識が強い場合は、グループのキーパーソンを探してその人に話にいく。難しい人に長い時間を割く
  • 普段、約束は口約束である
    自分が思ってたことと、相手の理解が違っていたこともある
    中には難しい人もいます。難しい人の時は書面を作ることも大事
  • 山林売買はフォレスター関係なくできる
    普通は「うちの山どれくらいの価値があるの」と連絡が来る
    もちろんアドバイします。それは無料ですが、きちんと資産を計算する場合は有料
  • スイスには二つの所有者がいる
    森林を持っていることが大事(少数派)
    買う時に高く掴まされることが多くて売る時に回収できないことも
    参考価格を出すフォレスターとしてはやりにくい。
    二つ目はそこで林業やろうという人。これはやりやすい。
  • 材の価格は上下するけど、森林の価値はあまり動かない。
  • 相続する時に手放す例が多い。
    管理している山林で一年に20件くらいある。
    買い手はなかなか見つからない。。
  • 境界の1mはフリーになっていないといけないという法律があるけど、誰も守っていない
    所有者が自分で使う場合もフォレスターがマーキングした木しか伐れない
    フォレスターの最初の仕事は境界の確認。
    これまでの25年で時間にして数週間は境界を確認してる
    本当は所有者が管理すること、でもできてない
    住んでない所有者が半分くらいだから
    所有者にやってもらうように仕向けてはいる
    伐採業者に頼むときは境界をフリー(見える状態)にすることを強く要求する
  • 収穫(伐採)の注文を業者に出す場合
    到達目標を示す
    この地域で自分がマーキングした木を伐採するとき、ほかの木を傷つけないこと
    特別な木の場合は絶対に傷つけないように特別なマーキングをしておく
    それは大径木ではなく小さな木の場合もある
    作業員はそれにすぐ気付かないといけない
    天然更新が至るところで起きている場合は問題ないが、そうでない場合はそこに木を倒さないようにする
  • 注文の時、どうやって収穫するかフォレスターが決める
    どんなシステムか機械を使うか
    土場はどこか、造材の規格も決める
    安全性の管理!緊急時の対応、ヘリや救急車の手配、どこにくるか
    造材の規格など重要な場面は書面にする
    大部分は口頭でつたえて、自分の言葉で復唱(応答)させる
    注文者の意図意味を把握して、応答するようにする
    フォレスターと業者で一緒に考える余地を残すこと。「チェンソーで伐ってくれ、いや、ハーベスターのほうが安いですよ」と注文を受ける側も提案してよい
  • 「いま私は質問しました。でも、誰もそしてどうするのか聞きませんでした。
    スイスではこういう教育を受けてます。背景がわからなかったら聞き返せと」
    財布は見たかっただけかもしれない、お金が欲しかったかもしれない
    例えば、作業員にあの木の葉を30%切りなさい!という。ハイと言って切りに行くスイス人はいない
    なぜそうするのか、理由は?と必ず聞き返す
  • 情報は一方通行ではない。新しい人と仕事をするときは多くの質問が飛び交うことになる
    なので、仕事はいつも同じ業者に頼んでる
    一番安いところをつかうわけではない、一番やりやすいところとやる
    もちろん森林所有者に利益も還元しなくてはいけない
    ペイしなそうなら、負けてもらうのでなく、もう一度何かできないか考える
    今までの会社がなくなってしまい、次の会社と0からスタートしないといけないことがある
    仕事が終わった後に、しっかり検証して不満のあるときはそれを伝えて、もう一度チャンスを与える
    というのは受けた会社の間違いではなく、こちらにも問題があったかもしれないからしっかり話し合って次の機会を持つ
    工期が遅れることがあります。その場合、向こうから伝えてもらえるようにしている。いちいちチェックしに行く時間はない。
    終わりそうなときも教えて欲しい。機械が撤収したら手遅れだから。そういうコミュニケーションできる会社とやりたい
  • 最終的に育成木をいっぺんに全て伐ってしまうことはないです
    少しずつ抜き切りして、経済的に回っていくのが恒続林
    ギャップを作るために育成木を伐ることはない。収穫するために伐ったら、それがギャップになる
  • スイスにも森林保険はあるけど誰も使ってない、買わない
    ただし連邦の基金があって災害のときにはそれを使う
  • FSCの特徴、長所はヨーロッパでよく知られていること
    FSCが付いてないと売れない。付いてれば売れる。
    そして、エコロジーに関する問題提起をしてくれる
    FSCがあったからこそいろいろ考えるきっかけになった
  • FSCのデメリットはお金がかかる。時間がかかる
    バカな規則がいっぱいある。スイスの環境はもともと厳しい。さらに厳しくする必要がない
    FSCは国の基準に上乗せするので、スイスではあり得ない基準になってしまう
    ドイツはずっと楽な基準しかない
    国によっては広大な皆伐をやってもFSCがとれる、安く作業員を使ってもFSCが取れる。そんな国とスイスのFSCが同じでいいのか

    スイスホルツ(ウッド)という認証もある。でも、まだ浸透していない

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といった感じで、まあもう頭もお腹もいっぱいです。
とにかく今回の研修は広く浅く学ぶという感じなので、上記のような話題になってます。

参加者の半数を占める県職員さんには、この研修を今後につなげていく提案をしっかり作っていってほしいと思いますね。
お願いしますよー

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林業(四方山話)」カテゴリの記事

コメント

自分が関わる森を他人事にしない
というのが、フォレスターの伝える
根底にあるのでは?
研修後半に面白い仕掛けが
あるのでご期待ください。

投稿: 祝杉 | 2015/06/21 09:46

祝杉くん、ロルフは林業だけじゃなく、森の全部が好きなんだね。
難しいのは山林所有者の扱いか。

明日も楽しみにしてるよー

投稿: でき杉 | 2015/06/21 22:21

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