「間違いだらけの日本林業」読了
先日のエントリーでもふれましたが(こちら)、読み終えた今でもやはり素晴らしい。
技術的な本ではないけれど、今後僕らがどのような心構えで林業に向かっていけば良いか、そのヒントが詰まった本だと言えます。
その内容は多岐にわたっており、細い部分では「ほんまかいな⁈」といった箇所も出てきますが、吉野林業や北山林業について述べているところなどは、しっかりと現場の実情を押さえていて、実際にその現場で働いている僕が驚くほどです。
で、ちょっと私見を述べると
国産材需要拡大の尖兵は、集成材による新規用途の開拓である。、、、外材駆逐を主戦略とするならば、良質の並材の無化粧貼集成材、しかも今日の原木事情では供給が難しい長大材を大面積長尺物集成材として提供することである。(p170)
とありまして、これはその通りだと思うんです。
ただ、僕らが吉野林業としてやっているような撫育を経て、役物を作るという仕事が残念なことになってしまうんですよね。
「良材生産の主役は製材」(p142)ということで、やはり役物(無節材)を山で作ったのなら、それをしっかり製材してもらって、きちんと差別化して販売してもらうことが、いまさらながら大事なのだと思っています。
本書の後半部分は、林業界への提言のようなものが増えてきます。
「林業は人なり」、、、そのための人材養成は、系統だった学校教育が絶対的な必要条件である。その上で厳格な国家資格試験に合格した者のみが林業に就業できる。このことはトップの職階の高等森林官のみならず、現場作業に従事する林業士(日本でいう林業作業員)や自営小規模林家にも同じく要求される。(p244)
えーっ!!!
さすがにこれは厳しい。
だって、この条件だと僕だって現場で働くことができないよ。
林業、山仕事が好きな人、最初は嫌でもやっていく内に好きになる人、いろいろいると思うんで、これには同意できないですね。。
でも、著者の村尾さんの言うこともわかるんです。
日本林業の基本問題とはすぐれて「人」の問題である。頑迷固陋な既成概念を徹底的に打破し、全く新鮮な頭脳と新境地への進出を断行できる勇気とを併せ持った「新人類」が出現して林業に新規参入すれば、、、日本を「森の文明・木の文化」の国にした上で、この文明・文化でもって新しい国際社会を織り上げることは、それほど遠くなく実現できる。そうでなければ人類に未来はない。(p261)
と、ここまで言い切っています。
これを一笑に付すか身の引き締まる思いに打たれるか。
ぜひ、本書を読んで皆さんで考えてください。
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コメント
今晩は、紹介して頂いた本書、ハマっております(笑)
「林業は人なり」p244 の 私の解釈は、林業人に学校に行きなさいと言ってるのではなく、意識の変革 向上心を持とうと 促してるのではないかと思います。
「医者は一時に一人を救い、林業人は同時に万人を救う」p272
にある 、ドイツでは、「・・・林学以上に高貴な仕事はない」と敬意を評される仕事だとかいてあるので。
投稿: 木豚 | 2015/04/21 02:17
木豚さん、こんばんは。
272の言葉もすごいですよね。
こういうことを飲み屋のおっちゃんがいうんだから、びっくりしてしまいます。
僕も万人を救えるように、明日も山へ向かいます!
投稿: でき杉 | 2015/04/21 21:32
やはり買いですね!
日々、地域では隣の日吉森林組合とのギャップに悩まされ…
我が組合では、現場技術員と職員のお頭の程度の差に悩ませれてます!
因みに私は現場技術員です(笑)
課長や参事や組合長に読ませたい!
読んでから読ませますか(笑)
いやそれより先に事務所に有る林業新知識や現代林業読めよって感じ(笑)
頑張ります!
投稿: キコリK | 2015/04/28 22:55
キコリKさん、これは買いですよ!
よそと比べる必要はないんですが、やっぱり気になりますよね。
僕自身、周りの事業体の話を聞くことは多いですが、隣の芝生は青く見えるのだと思ってます。
現場だろうと事務だろうと、読む人は読むし、読まない人は読まないし、それを血肉にするのは読んだ本人ですからね。
この本は誰にとっても読んで損はないですよ!
投稿: でき杉 | 2015/04/29 21:20
私がいくら素晴らしい本を読んだり、体験談を聞いて血肉しても、組織は良くなりません!
組織としてどう取組んでいくかが重要で、常に周りを意識しながら組織を運営して行くことは大切です。
隣の芝生は青いのは事実、それを放置していては、体質改善はできません!
井の中の蛙にならないよう、良い書物は読んでどうしたら実行できるか考えて欲しいものです!
まずは私が読んでみますね!長文失礼しました!
投稿: キコリK | 2015/04/30 14:05
キコリKさん、ほんと読んでみてください。
けっして難しい本ではありませんから。
現場の人間が読んでも、十分参考になりますよ。
投稿: でき杉 | 2015/05/01 20:27