丸太価格の暴落はなぜ起こるか
G.Wずっと仕事していたんですが、気分転換に本も読みました。
ざっと内容を全林協のサイトから
2012(平成24)年に経験した未曾有の国産材丸太価格の暴落―。
このような「暴落」はなぜ起こるのか? その原因を求めて、著者は全国の森林・林業・木材産業の現場で、多くの方々を取材し、議論を重ねてきた。
本書では「暴落」の原因、複雑なメカニズムをわかりやすく整理している。その上で「暴落」を回避しうる、競争力のある加工・流通のビジネスモデルを提案。価格安定化に向けた協定取引、特売方式、システム販売などの実践例を紹介している。
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まあ、撫育が基本の僕にとって丸太価格はそれほど敏感ではなく、去年価格が暴落していたことなんて正直知りませんでした。
それでもこの本はかなり面白かった。
これはやっぱり素材業者の管理部門の人が読むと良い本なんだろうけど、現場の「石ころ」のような僕でもかなり勉強になりました。
ていうかこんなんだから勉強になったという方が正確かな。
材木ってやっぱり国際商品なんだよね。
構造用集成材の原料になるスギラミナや間柱価格は円・ユーロの為替レートに大きく左右される商品だけに、ユーロ安によって競争力低下を余儀なくされてしまった。
(P20)
もうさ、木材市場の競りくらいしか知らない自分にとって、丸太の価格がこうやって決まって行く、ていうのがビシビシ書いてあって、もう目からウロコなわけですよ。
やっぱり市場でさ、買い手がいたら値が上がって、いなかったら元落ちするみたいなレベルじゃなくて、世界中の魑魅魍魎がうごめきあっていろんな思惑で価格が決まっていってて。
いやあ、びっくりしたよ。
とにかく、この本は難しい用語とかなくて読みやすいし、「暴落」をテーマに国産丸太、林業の実情を丁寧に書いてあります。
最後にもう一つだけ引用。
とある現場で、プロセッサから降りてきた若い社長に問いかけてみた。「今、丸太の値段が下がりっぱなしなんですよ」と。返事がふるっている。「丸太価格が下がってるって?じき上がるよ。それよりこっちは買った機械の『元』をとらなきゃならないし、従業員も遊ばせておくわけにはいかんから」。
高額な漁船や漁具を装備している漁師とても同じ思いだろうが、豊漁で魚の値段が下がっている時に船を出せば、自分で自分の首を絞めることになりかねないことぐらい知っている。ところが、同じ第一次産業にも関わらず、林材業界では不思議なことにこうした生産調整すら行われない。むしろ嬉々として素材生産に従事しているのだ。能天気といってしまえばそれまでだが、どういうことなのだろうか。
(p5)
読み物としても十分面白いです!
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