枝打ちに適した鋸を徹底比較!後編
「枝打ちに適した鋸を徹底比較!前編」は見ていただけたでしょうか?
それではいよいよエントリーの中から(吉野地域では)枝打ちに向いていない鋸を刃の短い順に紹介します。
(重さは実測です)
◯ARS 折込剪定鋸ブラック200B
・135g ピッチ? 板厚?
・挽き味は軽いけど、ひっかかりは多少ある
・ガリガリゴシゴシ切る
・ガリガリ切る感じで、1cm以下の枯れ枝は引っかかってしまってうまく切れない
・鋸を大きく使おうと思うと写真の赤円の部分が狭いため、持ち手の青矢印のところに木が当ってしまう。
このため刃渡りの長さよりも鋸を細かく動かすことになってしまう
◯シルキー ツルギ200mm
・205g 3mmピッチ 板厚1.7mm
・鋸を挽くときに引っかかってしまってつんのめるようになる
・挽きがとにかく重い。厚みが抵抗になっているのか?
・鋸も重たいしグリップも重い
・切れ味はグイグイと良く切れる(力は必要)
・枝打ちには不向き。
ツルギは先も幅も細いので枝打ち向きだと期待していたけれど、僕のような現場ではどうにも使えない。
もう一ランク太い木(直径20cm以上)、太い枝(5cm〜)ならツルギも良いと思うが、300,400ならまだしも、この厚みでこの短さ(200)だと使える現場は限られるのではないか
◯玉鳥 L生木240mm
・129g 2.7〜3.7mmピッチ 板厚0.8mm
・挽きは軽いけど、結構ひっかかりがある
目の細かい刃元を使ってもひっかかる
・なんかグリップが大きい。使いにくいわけじゃない
・挽き味は普通だけど、いちいちひっかかって疲れる。切れ味はかなりいい
・枝打ちには向かないけど、森林ボランティアさんが鋸での間伐を行うには最適だと思う。
10cmくらいのヒノキがザクザク簡単に切れる
・アサリわけしてあるけど、切り口は枯れ枝、生き枝ともにきれい
・玉鳥で枝打ち用なら「恵み」が最適か、「剪定」はピッチが広いような
◯西山商会 アサリなし小鋸250mm
・130g ピッチ? 板厚1.2mm?
・とにかくがっつり引っかかってしまって小枝を切ることが不可能
もともと「枝打ち専用小鋸」という名前だったのが、今の商品名に変更されたのもさもありなん
・普通の山鋸を短くしてアサリを振り分けていないだけのもの
・挽き味は軽いようだが、とにかくかかるので疲労感MAX
・この鋸を企画した人は高知県という林業県でありながら、枝打ちを知らないのかな
「枝打ち用なら短めでアサリなしでいいんじゃない?」ぐらいの
・ただ挽いている時の音が違う
シャリーン、シャリーンとこれぞ鋸!
・この鋸を使って、西山の尺2寸と尺6寸の鋸で丸太切りを練習しまくってた日々を思い出しました。
あの時も西山の鋸がひっかかって仕方なかったので、目立て屋で直してもらってたな〜
→日本の夏、そまびとの夏(7)
今回は自分で目立て直ししてみようかな
・西山のヨキは5丁ほど愛用させてもらってます、ハイ
◯シルキー ゴム太郎2段切り270mm
・185g 3.75mm、3mmピッチ 板厚1.4mm、1.2mm
・挽き味は重くなくひっかからないが、強くゴリゴリと感じられる
・下刃の角度はゴム太郎細目(2段切りのバックティースと同様)と異なり、普通なのだがゴリゴリ感は細目と似ている
上目に特徴があるのか
・バックティースは抵抗なくサラサラと挽ける(ゴリゴリ感もない)
・細い枯れ枝も打てるけど、ゴリゴリ。細目のようにシャッとは切れない
細目は板厚が薄い分、枝打ちに使えるが、こちらは無理
・枯れ枝、生き枝ともに切り口はきれい
・杉の枝は刃を入れると自重でパキッと折れてしまうので、バックティースで挽いてから落とすのが有効
ただし、この鋸は林業の枝打ちのような細目の枝では「下がり」が悪い
シルキーの「ガンファイター」のアサリなしバックティースなら杉の枝打ち用として最適かな。
それかもっと薄い専用の鋸とか。
◯サムライ 一番270mm
・200g 4mmピッチ 板厚1.0mmか?
・ひっかかっるし、ガリガリと挽く感じ
・鋸の幅が厚く混み合った枝を打ちにくい
・板厚の薄さと引っかかりのバランスが悪く切り口が荒れる
・枝打ちには向かないが10cm前後の木にはカーブ具合が心地よく絶賛の切れ味
ものすごく切れます!
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というわけで、今回こんな形でここに登場した鋸はいずれも切れ味が悪いわけではありません。
比較的細い枝を切る林業の枝打ち用途には向いていないと思えた鋸です。
で、これらの鋸がこのままでは終われないと思うので、7〜8cmほどの雑木を全11種で順番に挽いてみました。
何ストロークで木を切ることができたか数をメモっておきますので、参考にしてみてください。
これで枝打ち用途向きか、腰鋸(ちょっとした山林作業用)向きか判断できると思います
・ARSブラック 片手48 両手35
・ツルギ 片手40 両手41
・パイプソー 片手60 両手54
・ヒシカ徒長枝 片手29 両手26
・L生木 片手26 両手29
・西山小鋸 片手26 両手21
・2段切り 片手31 両手24
・ゴム太郎細目 片手34 両手29
・天寿 片手28 両手23
・チャレンジ 片手28 両手27
・一番 片手24 両手20
こうした使い方ではサムライの一番が、まさに「一番」ストローク数が少なかったです。
カーブの利点を生かした結果といえるのかな。
ヒシカとL生木は3cm短いのに良い結果を残したと思います。
パイプソーは枝打ちの時はめちゃ使えるのに、この雑木はぜんぜん切れなかった。
ちなみに動画にはないですが、番外編としてシルキーのスゴイで両手で挽いてみたんですが、ストローク数は12回でした。
さすがは世界のベンチマーク、やはり切れ味は圧倒的。
普段使いにはちょっとかさばるけど、「お前の鋸なにそれ?」っていわれてみたい人はぜひ腰に下げてみてくださいね。
鋸の比較、次は「ケース(鞘)編」へと続きます!
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コメント
でき杉さん、お疲れ様でした!
とても面白かったです!!
今回の使用目的には、西山の鋸はあってなかったみたいですね…2センチ以下の枝や細い枯れ枝には、不向きですね。自分は、2センチ以上の生枝に使い、細い枝は剪定ハサミで切ってます。
自分もかかりが強すぎたので、目立てするときに刃を起こしたり調整して自分の好みに目立てしていたのを思い出しました。
切れやんでちょうど良いようにと西山のホームページに書いてありましたが、なぜそんな目立てをしてるのかは、自分も疑問があります。
確かに、刃はアライし目立てもイマイチですが目立てを直せば、かなり良くなりますよ!刃が大きいので目立ての時間も早く終るし目立てもしやすいですし。
ヨキも研ぎ直して使うのと同じで鋸も自分の好みに目立てし使う用途に合わるのが良いと思います。
どんな目立てにしたら使いやすくなるか考えながら目立てするのも鋸を使う楽しみだと自分は、考えてます。
投稿: 山坊主 | 2013/03/17 20:31
山坊主さん、鋸コメント、なんだか申し訳ないです。
西山の鋸は記事にも書きましたが、昔使っていて
当時は目立て屋で直してもらってたんですよね。
今回は山坊主さんのいう通り、自分で直して使ってみようと思います。
刃が大きいと目立ては本当に楽ですよね〜
いずれ鋸の目立ても記事にしてみようと思ってます。
がんばって勉強、研究、練習しないと!
投稿: でき杉 | 2013/03/17 22:05
植木屋の風です。
大変面白い結果です。
私、林業の枝打ちを知らないで、鋸を推薦してましたわ…
ごめんなさい。
目的違えば鋸違う訳で…道具は深いですね。
投稿: 風 | 2013/03/18 22:12
風さん、いえいえとんでもない。
エントリーした鋸はそれぞれ特徴があって、やっぱりさすがは推薦された鋸だと思って比べてました。
僕だけの考えではこれだけ多彩な鋸を比べることはできませんでしたから。
改めて一度に比べてみて、大変多くのことがわかりましたし、得たものは今後の鋸選びの指針にして行こうと思います!
投稿: でき杉 | 2013/03/18 22:42