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2007/12/09

これまで以上に

昨日、村の山いきさんが亡くなったと書きましたが、少し状況が分かってきたので書きたいと思います。
こんな話題をブログで読みたくないという人もいるかもしれないけど、本当に山で働いている人間にとっては大事な大事な話題です。
少々付き合ってください。


亡くなった方は52歳。
山で52歳といえばバリバリの黄金期でしょう。
普段の仕事っぷりも定評のある方でした。

状況はこうです。(聞いた話をまとめているので完全にこうだったとは言い切れません)
現場は急傾斜地でもうすでに伐採してあった杉を規定の長さに切る仕事をしていました。
ある程度の長さに切ってからヘリで搬出するためです。
杉の大きさは切っていたところで50センチというから、かなりの大きな木です。

伐採してあった杉(吉野では上向き、山側に伐採してある)が2本重なっていたんですね。
どこで重なっていたかは分かりません。
末の方が少しだったのか、それとも中程か。
伐った木はなるべく重ならないように伐採しますが、そういうわけにはいかないこともあるのは現場に出ている人ならわかるでしょう。


重なっている上側の杉を玉切りました。
どうやら切った拍子に木が動いたようです。
そしてとっさに(いつものように)その木をよけました。
急傾斜地で大きな木です。
上に乗っていた木が動いた影響で下の木までズッと動いたんですね。
(山側に倒してあって元は切り株に乗っていた状態。それがズレたかもしくは落ちた)
そしてその木(下側)の下敷きになりました。

木を玉切る際に山側にいたのか、谷側にいたのか、それは今のところ分かりません。
もちろん山側にいたとは思うのですが、そこまで詳しい事は僕はまだ知りません。

とにかく重なっていた木を切っている状況で起こった事故ということです。


事故があって、仲間がすぐに木を切ってその人をひっぱり出したそうです。
そしてケータイで連絡をとろうとしましたが、やっぱりというかなんというか電波が入りません。
仕方ないので、山を下り自宅まで戻ってすぐに救急車で駆けつけましたが、現場は山の中。
救急では無理となり、防災ヘリで救助となったそうです。


実は、僕はこの日、すぐ近くの現場で枝打ちをしていました。
朝、現場に向かう途中にこの方達の車が止まっていたので、「ああ○○さんたち、仕事きてるなあ」と思っていたんです。
僕が枝打ちをしている間もチェンソーの音が聞こえていました。
ただ、途中からチェンソーの音が聞こえなくなったんですよね。
そしてヘリが頭上に現れて。
もううるさくてね。
ワイヤーが垂れてないから搬出のヘリじゃないなと思っていたんです。
「なんだろうな〜、もううるさいよー、さっきから!」

このヘリが救助していたんですね。
救助と言うか、ほとんど即死状態だったそうです。



今年は奈良県内だけで4人亡くなりました。
毎年毎年、事故で山いきさんが亡くなります。
もちろん、歳をとっても元気に山仕事している人はいっぱいいますよ。
ほんっと、みな元気です。
でも、もう一方にこういう事実もあるんです。

いままでいろんな山での死亡事故を聞いてきました。
でも、今回ほど心にこたえたことはなかったです。
「怪我は自分の責任だけど、山で死ぬのは運だ」なんて軽口を叩いていたのが恥ずかしいですね。
本当に本当に気をつけないと。
皆さんも本当に気をつけて下さい。



長文、すみませんでした。

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林業(四方山話)」カテゴリの記事

コメント

まずは亡くなった方のご冥福を心よりお祈りいたします。

同業者で、しかもよく知る方が亡くなったということで大変なショックだろうと思います。

昨日の夜の記事を読んで、林業では決して珍しい話ではなく、まずは詳しい状況の説明を待とう、なんて考えてました。
実は今日僕も怪我をしました。
お昼ちょっと前、伐採した杉の枝払いをしていました。杉は斜面に対してほぼ真横方向に向けて倒してありました。ひとしきり払った後、上まで登っていくには半端な時間だなぁ、って思いながらなんとなくその辺にある木の枝を払い直したりしていました。
すると、すぐ上の木が動きました。傾斜がその現場では最もゆるい場所であったこと、木の太さが15cm位であったことから、この時点ではまだそれほど危機感を感じていませんでした。
ゆっくり、ゴロゴロと近づいてきてこれはやばいくないか?って思い始めました。だってその位置が15cmなだけで胸直で30cm、長さ15m位はある木です。
どうしよう、飛び越えるか?なんて逃げながら考えていたら、別の木と木の間に足がズボッとはまってしましました。その拍子に僕は谷側に倒れてしまいました。体は横を向いており、膝に近い部分でテコの支点となりそうな感じに木に挟まっていたのでこれは折れる!と瞬間的に思いました。
倒れながら、足が無理やり曲げられる痛みを感じましたが折れた感覚はありませんでした。どうやら抜けたようです。
でもすぐに木が僕の上に転がってきました。もうどうすることも出来ません。顔周辺を両腕でガードするのが精一杯でした。経験がないので(したくありませんが)どのくらいの衝撃か想像もつきませんでした。弾かれるのか、潰されるのか、そんなことを考えていたと思います。
腕に木が当たった感覚がありました。でもそれほど強くなく、僕の上を通過していきました。なぜだか知らないけど助かったのか?すぐに起き上がり体を認しましたが、膝は曲がる。他の所も大丈夫そう。しばし放心。その後現場検証。
なぜ助かったのかが解りました。
僕が転げたすぐ横に高さ50cm位の大きな石がありました。木は僕に軽く触れただけで、この石の上を乗り越えていったと思われました。石の表面には杉の皮が擦れたようにくっついてました。決して軽く当たっただけではないことを物語っていたと思います。

足は腫れましたが歩けます。他はなんともないです。
でもあと10cm深く足がはまっていたら、あの石がなかったら、そう思うと穏やかではいられません。

奇跡的に助かった、と感じたことは実はこれで2度目です。
情けないことだと思いますが。
1度目は無知が、そして今回は明らかに油断がありました。
3度目は無いと思います。深く反省しなければなりません。

これを機に、安全について改めてじっくりと考えたいと思います。
でき杉さん、事故は本当に嫌なものですね。

長々とすいませんでした。

投稿: オバタ | 2007/12/10 23:41

ぼくも今、榛原の山で80年生の杉の伐採作業しているため新聞の事故の記事は身につまされる思いで読み出来杉さんは黒滝の森林組合で働いていると聞いていたので もしかしたら事故の状況がもう少しわかるかと思いアクセスしました。山での事故情報を共有して少しでも事故を減らせるように安全対策や心構えに生かしたいと思います。

投稿: たくじ | 2007/12/11 00:58

とても残念です。
亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

でも、この事故を二度と繰り返さないために、詳しく検証して防止策を考えなければいけません。

その人のミスで終わらせてはいけないと思います。

急斜面で縦に倒した大木を玉切るということは、それだけで滑落木の危険をはらんでいます。その方も今まで何度となく危ない目にあっていたのではないでしょうか?
そしてベテラン故の慣れがあったのではないでしょうか?

少しでも不安な状況であればチルホール・レバーブロック等で材の転落を防止する措置をとって作業するべきではなかったか。

救急搬送の方法についても、事前にその現場でもし事故が起こった場合、救急車を呼ぶべきかヘリでないと間に合わないのか、通報手段はどうか?考えておくべきだと思います。


オバタさんも大変な目に遭いましたね。
1:29:300
1つの重大事故の陰には29の軽い事故と300のヒヤリが存在する。ハインリッヒの法則です。
「1」になる前に芽を摘んでおきましょう。

投稿: だん | 2007/12/11 03:34

オバタさん、こんばんは。

危機一髪でしたね。ほんと良かった。
村での事故以来、「なんでこういう事が起こってしまうんだろう?」って考えてます。
機械化が進めば、事故は減るのでしょうか?

今回は直径50センチ(80センチという話も)という大きな木です。
機械化でどうなるようなレベルの仕事ではなかったのですが、かなり大きな重いチェンソーを担いで急斜面で仕事をするというような状況は機械化によって避ける事が出来るのかなと。


オバタさんの危機一髪も、僕も現場が想像できるだけに本当に怖いです。
足をとられることなんて良くありますし。


木を伐る作業のときはついつい興奮状態になりますが、お互い焦らず作業が遅れても、時には立ち止まりじっくりと仕事に取り組みましょう。


だんさんや、せんだってのITMで末武さんがおっしゃってたように危険な条件を揃えないように気をつけて行きましょうね!

投稿: でき杉 | 2007/12/11 22:35

たくじさん、はじめまして。
もしかしたらどこかで出会ってますか?
次の機会にはぜひ声をかけて下さいね。


僕たちは残念なことですが、実際に起きた災害や事故から学ぶことが事故を防ぐ一番の近道です。
今週中に労働基準局が現場に入ります。
これで詳しい状況が明らかになると思います。


亡くなられた方の魂を鎮めるのは、僕たちが怪我や事故にあわないようにする事だと思っています。
お互い気をつけて作業に取り組みましょうね。

投稿: でき杉 | 2007/12/11 22:41

だんさん、こんばんは。

僕が言える立場ではないですが、「ベテラン故の慣れ」というのはあったかもしれません。
大径木の伐採に関しては全幅の信頼を寄せられている人でしたから。
その日も特別な事はなく、いつものように仕事をしていたのではないかと。

今週、労働基準局が現場に入ります。
そこで詳しい状況がわかると思うので、しっかりと防止策を検討する事になると思います。

このあたりの事も伝わり次第、ブログに書けたらと思っています。


投稿: でき杉 | 2007/12/11 23:07

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